衝動で書いている紹介文
こんにちは、いづです。
1冊の小説を読みました。タイトルは「白い夏の墓標」(新潮文庫)
小説自体が久しぶりで読み切れるか不安でしたが杞憂でした。
ちょっと刺激的で何とか言葉にしたいと思って記事を書いています。慣れないことをしている自覚はあります。
本記事は紹介なので多少ネタバレが含まれます。が結末は触れていませんし30%もわからないと思います。
あらすじ
まずはあらすじ。
パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る見知らぬ老紳士の訪問を受けた。かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が、実はフランスで自殺したことを告げられたのだ。細菌学者の死の謎は真夏のパリから残雪のピレネーへ、そして二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。
改めて読むとこのあらすじ全然惹かれない上にわかりづらいですね。
主人公は佐伯教授。アメリカへ留学した親友の黒田の死を事故死と聞いていましたが老紳士によって本当は自殺だと告げられます。
佐伯は老紳士に黒田の墓参りに行ってくれないかと言われます。
そして黒田の墓の面倒を見ている女性に封筒を渡して欲しいと頼まれます。(同時に中身を見ないようにとも言われます)
唐突に頼まれたおつかいイベント。しかも行くまでにたっぷり乗り継ぎ1日はかかる辺鄙な土地。
普通断るこのイベントですが親友の墓を見に行くことを佐伯は選択します。
黒田との過去を思い出しながら旅路を進みようやく墓につきます。
弔いの言葉をかけた後、女性のもとへ向かい封筒を渡そうとすると激しく拒否されます。
一体なぜなのか。。黒田の死の真相とは。
といったストーリー。ここからは私の思うこの本の魅力。
丁寧な展開
あらすじを読んでそもそもこの話何に繋がるんだと思っていました。
友人が事故死かと思ったら自殺だったしか書いてないあらすじで普通「ふ〜〜ん」というところ。
(逆に何もなさすぎて惹かれてしまったのはある)
読み進めるとまさかの墓参りで遺書が残っているわけでも謎を残したわけでもない。
確かに自殺の原因は気になるけどそこまででもない(墓参りイベントを頼まれた時点で黒田の描写がさほど多くない)。というか佐伯もあまり自殺の原因は気になっていません。
と思いつつ読み進めると過去回想が入り佐伯と黒田の関係性が明らかになっていきます。
結構な親友なのです。墓参り行って何か言葉をかけたい気持ちも理解できるほどにはなります。
突拍子もない展開がなく読み進めると興味が広がっていく、個人的には新鮮でした。
何か目を引くイベントが序盤からあり、そこから引っ張っていくストーリーが最近は特に多い。
まあでもそうではないと普通読み進めないからな。。
細かすぎる人の描写
最後まで読み終わっても「あの描写・くだりいるのか。。」と思うことがいくつかありました。
ストーリーの最終的な着地には何の影響も及ぼさない回想や描写。
それが登場人物の思考や判断の基準にも影響を与えている、といわんばかりに表現しています。
こう思ってしまったのは大体私のせいです。
最近は特に小説を読まず、伏線たくさんのドラマのような無駄を極限まで削った(意味ある描写に固執しているともいえる)ものばかり嗜みすぎていたなあと気づけましたね。
一つ一つ噛み締めると登場人物の思惑も理解できる。。共感しやすいんですね。
ただなくても問題ない補強が多くを占めてますね。
ぜひ読んで欲しい
上で書いた魅力2つを見ても「どう足掻いても友人の墓参りイベントじゃないか」と言われると確かにその通り。
ただこの墓参りイベントの果てに何があるのか、気になりませんか。
受け取り拒否された封筒、何が入っていたのか、そもそもなぜ拒否されたのか。
発売日が1983年と古いですが古臭さはなく、ただ今風でないゆっくりとした展開が魅力です。
本屋で探すのは難易度高そうですがネットで調べるとサジェストに普通にネタバレが出るのでおすすめしません。新潮文庫の棚にあればぜひ。